「淫乱斎英泉」@おうるすぽっと

実在の絵師、渓斎英泉を主役に、高野長英との交流、それを巡る女達。
俳優座文学座などで書いていた脚本家、矢代静一氏の脚本を鈴木裕美さんの演出で。
てっきり浅野和之さんが主役だと思っていったら、主役は英泉の山路和弘さん。酒と女が大好きな色男、口跡鮮やかなタンカがさわやか。ふんどし一丁の姿も実に色っぽいアラフィフ世代。
浅野さん演じる高野長英は、実直朴訥な岩手訛りの勉強熱心な若者(老け顔のw)から政治的野心を持ち、蘭学者として追われ囚われの身に。脱獄してからは顔を薬品で焼き、名を変え江戸市中に潜伏していたが、やがて捕吏に捕らわれ自刃。
兄・英泉を愛しつつも長英を尊敬し、尽くす女に田中美里さん。
女郎から身請けしてもらい、越後屋の女将に出世する女が高橋由美子さん、
商売人、越後屋がMOP木下政治さん。

少人数、小さな舞台だが、各自にものすごい熱量があり、「物凄い」「圧巻」という舞台。
奇しくも鈴木さんがパンフレットで
「演劇とは舞台の上で、トラとライオンが格闘する様を見ることなのだと、戯曲を通して矢代さんはおっしゃっているように思います」と書かれているとおり、楽しみに行ったのにえ〜、血まで見るの?え〜殺し合うの!?怖いよ、つらいよ、という思いをしました。
(高知で闘犬を見て、「おもしろそ〜」と入ったものの血を流しあい、歯を互いの皮に食い込ませる闘いを目の当たりにしてごっそりパワーを奪われたことを思い出しました)


とにかくすごいです。重い。久々に見る方のエネルギーを奪う舞台でした。