「橋を渡ったら泣け」@シアターコクーン

劇団MONOの土田英生が自分の劇団用に書いた戯曲を、今回キャストが決まってから、当て書きも含め加筆訂正した本を、生瀬勝久の演出で。


面白かったー!背筋が薄ら寒くなるような状況がずっと続くのだが、土田ならではの何気ない、しかしイキイキした会話を通じていわゆる「日本沈没」後の世界に取り残された人々を描くもの。
ずっと人間の本能を試されるような状況が続いて、八嶋智人がコミックリリーフの役割を果たしてくれるんだけど、それでも世界は絶望に覆われていて、どう終わらせるのか…と思ったら、ああ、まったくあさっての方向から解決策が飛び込んでくるって、あるよね、人智が及ばないというかさ、という感じにふいに希望が訪れ、見ている我々も救われて終わる。それまでの展開も、着地のさせ方も、とても好きでした。


前半はモラルの王者だった大倉孝二がやっぱりいい人で終わらないところ、一番頭が悪い人が一番しっかりしたモラルを持っていること、一番頭がよさそうだった元教師が、判断基準を失うと一番弱い人間になること、など、本当に人を意地の悪い目で見ている人の本を、意地の悪い目で見ている人が演出した感じ。
このページの作・演出の目!
こわいよお〜、絶対人のこと見ながら「けっ」て笑ってる目だよ〜。


お芝居とは関係ない事件としては、近くの客席でものすごいいびきをかき始めた女性がいた。
面白いお芝居だし、その人は連れもいなかったから多分お芝居が好きな人で、だから相当お疲れだったのではないかとは察するが、あまりの轟音にこの人はもしや脳梗塞でも起こしたのではないか?と心配になるほどだった。しかし数分続いて、その後起きていられたようなのでとりあえずはよかったが、一時はいろんな意味で冷や冷やした。