「千里眼の女」青年座@紀伊國屋ホール

非常に面白かったよ〜〜千里眼の女の苦悩も情念も胸を打ったし、彼女を信じた東大の教授も、その周りで功績を焦る大学教授達の争いも大変感情移入できるし… しかも千里眼の女をやったのは今年入ったばかりの新人さんらしい!すごい才能! なんだけど…


非常に台詞が堅く、高邁すぎて見る側を選ぶお芝居だ。東大、京大などの日本の誇る頭脳たちの会話はまだ仕方がないかとも思うのだが、新聞記者が立て板に水でしゃべる膨大な台詞もやはり漢語、熟語などが多く、聞く側が少し集中力を切らすと何を言っているのか分からなくなる。たぶん目で見て文章を読めばそこまで難解には感じないのかもしれないが、耳で聞かせて理解させるには少しハードルが高いのでは…と思う。
別に声が出てないわけでもないし、滑舌が悪いわけでもないのだが、私の後列に座ったおばさまたちは「いかにも新劇調でいろいろ言うけど口のなかでもごもご言って全然聞こえないわ」とばっさり。いや、もごもごはしていないが聞く側の理解が追いつかないのでそう思わせるのだ。
しかもインテリ達の高邁な会話と、さらに熊本弁、別の地方出身者の北の方の方言などが入り乱れ、さらにハードルを上げていた。
どんなに素晴らしいストーリーでも理解できない者にとってはただの退屈な時間になってしまうという、非常に当たり前の事実を実感した。
このハードルの設定は、作り主にとってはえんえんと悩み続けなければいけないテーマなのだろうが…