青年座「MOTHER」@紀伊国屋ホール

青年座劇団M.O.P.キムラ緑子さんを迎えて、与謝野鉄幹と晶子夫妻を描く。演出・宮田慶子。
青年座山路和弘さんがかわいい男っぽい意地っ張りの鉄幹を、キムラさんがまさに太陽のような少女のような母、晶子を。互いを思うからこその夫婦の機微をかわいく演じる。
ほんとに2人ともかわいいのだ。そうとしかいいようがない。
山路さんは本当に年を取ってどんどんかっこよく、かわいくなって、これじゃ世の女は母性本能くすぐられずにはいられまい。ちくしょー男っていいぜ。
キムラさんも、ひらがなの「おんな」って感じで理論でなく体と感情で世界を理解する晶子をあたたかく、かわいげたっぷりに。ちくしょーいいダンナでうらやましいぞくそ。
三部作としても、最後に両劇団のエースをぶつけて来た感じがあって非常にいい終わり方に見えた。


夫婦以外では、アナキスト大杉栄を演じた大家さんがなかなか爽快、豪快だった。
しかし北原白秋があんなダメ人間だというのは、どこまでがオリジナルなのだろう。
もう詩人として終わっているとバカにする鉄幹に金を無心して金箔を使った自主制作の処女詩集を出版…だけど鉄幹は白秋の才能を素直に認めて金を出した、と。
童貞だったのに人妻に恋して姦通罪に問われたとか何とか。オモシロエピソードが満載だった。
そのほか本当は小説が書きたいのに才能がない、短歌なんかほっといても出来てしまうという石川啄木など、キャラがカラフルで、劇場を出てから各自の著作を読みたくなった。
だけどもはや解説なしではわかんねーな。「熱き血潮に触れもみで」って触れてみてるのか触れてもないのかわかんねーや。


魯迅が名付けたという与謝野オーギュスト(笑) 絶対いじめられるよ〜〜。よさギュー。